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partly cloudy 【ヒロアカ】

第3章 オリジン






放課後、なんとなく家に帰りたくなくて
屋上へと足を運ぶ。


お兄ちゃんの面影を求めて。

お兄ちゃんは本当に屋上が好きだった。


馬鹿とカラスは高い所が好きだっていうもんね。
ほんと、お兄ちゃんは馬鹿だなぁ。


しばらく雲を眺めてボーッとしていた。




「考え事か?」




後ろから声が聞こえた。
ゆっくりと振り返ると消太くんが寝袋に入って横になっていた。



「…何やってんだ?」



「いや、こっちの台詞なんだけど」



葬式の時以来に久しぶりに会った消太くんは
少しやつれたように見えた。
髭も生やしているし、髪の毛も以前よりもモサモサだ。



「俺は…仮眠取ってた」



そう答えるとモソモソと寝袋から這い出て
私の隣に歩いてきた。



「こんな所で寝ると風邪ひくよ?」



「…気をつける」



葬式の時の暗い雰囲気は感じないが
今までとはどこか違う。
私も今までとは違う風に見えているのだろうか。
今まで居心地の良かった二人でいる時の空気感はまるで感じられない。



「手、どうしたの…?」



消太くんの手は包帯がグルグルに巻かれていた。
よくみると顔や腕にも擦り傷が目立つ。



「ああ…これは捕縛布の自主練で、ちょっとね」



「そっか…無理しないでね。」



「…気をつける」



まるで心がこもっていない言葉だった。
無理をしないつもりはないのだろう。



「あたしね、親にヒーロー科辞めるように言われたの。」



「…そうか。辞めるのか?」



「悩んでる。
…でもね、悩んでる時点でダメなんだと思ったの。
辛くても、誰に何と言われようと、それでも成し遂げたい夢じゃないと…中途半端なヒーローになっちゃう気がするの。」



消太くんはフェンスに腕をかけ
黙って聞いてくれている。




「…私はどうしたらいいんだろう」





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