第38章 校外研修会
しばらくジョークと談笑していると時間になり、
ヒーロー公安委員会の会長が入室してきた。
『皆様、この度はご足労頂きありがとうございます。
本日はヒーローの教育について講演をさせてもらいます。』
会長直々に講演なんだ……。
なんだか気合いが入っているな。
『昨今、オールマイトの引退により、
敵による犯罪率も上昇しています。
ヒーロー飽和社会である現在であってしても
決して油断できる状況ではないのです。
だからこそ、ヒーローの卵を育てる重要さを
皆さんに今一度、認識していただきたい。』
公安の方々から資料が配布され、
話を聞きつつ、一枚、また一枚と資料を捲っていく。
「……これって」
「こりゃ、随分と強攻策だねぇ。」
内容はヒーロー育成カリキュラムの早期化。
つまり、2年次で教える内容は1年次に詰め込み
3年次には丸々インターン制度を取らせ
ヒーローとして社会に出て行く時期を早めましょう。
といった内容だった。
私は眉をひそめる。
Msジョークも真剣に資料を見つめていた。
雄英は他の高校と比べても進みは早い方である。
特に今年は1年生で仮免許を取得させるため動いていたが、今年が異例。
本来であれば1年生で時間をかけて基礎を覚え、体力・知力を向上させてから仮免許試験に臨む。
今年の雄英の1年生達のように他校も1年次での仮免許取得に向けて動きましょう、という公安委員会のお達し。
『強く聡いヒーローを育成すること。
皆さんには今後も強い姿勢で取り組んで頂きたい。
公安からは以上です。
各学校に持ち帰って頂いて協議してください。』
公安委員会の会長は一礼をしてから
マイクを置き、会議室から退室していった。
「いや~、これどうなの?
賛否両論あるだろうけど……」
「私個人としては反対です……
まあ、学校の意志には従いますけど。
仮免許の試験の時にも思いましたが、
焦り……みたいなものを感じますよね。」
「……そうね~。
時代が変わって、ヒーローの存在意義も変わってきてるから……ってのもあるのかな。」