第37章 青い空と青い春
「あんまり無理して心配かけると
ミッドナイトさんが個性使ってくるぞ。」
「………それは困っちゃうな」
霞が椅子から立ち上がり、
伸びをした途端にふらついて倒れそうになった。
俺は咄嗟に抱きとめた。
「…っおい!霞、大丈夫か!」
「………ご、めん。
ふらついちゃった………」
寝不足と軽い低血糖だろうか。
そのまま霞を抱えてベッドまで運んで横たわらせた。
「何かいるか?」
「ミッドナイトさんのココア……」
ホラよ、と身体を起こさせてマグカップを渡す。
ひと口飲んで幸せそうに笑った。
「ミッドナイトさんが淹れてくれるココア、すっごく美味しいんだよ~。
寝る前に飲むと最高なの。」
「それ飲んで少し寝ろってよ。」
「そうしようかな……
頭回らないからレポートが全然進まない……。」
「『現代におけるヒーロー教育について』か。」
その辺に散らばっている資料に手を伸ばす。
俺らの時は、ヒーローが与える社会への影響…的な内容だったな、確か。
レポートにまとめた内容はまったく覚えていないし、俺は思ってもいないそれっぽい言葉をつらつらと並べただけだった気がする。
「オールマイトが引退してから変わりつつあるヒーロー社会に順応させる為にどのような教育をおこなっていくべきか……とかそういう事だよね。」
また急にスイッチが入ったのかブツブツと呟き出した霞。
生徒と真剣に向き合っているからこそ、教育についてのレポートもクソ真面目に取り組めるのだろう。