第36章 合同戦闘訓練
心操くんと緑谷くんが対峙する。
心操くんの捕縛布によって鉄パイプが緑谷くんに迫ると先程の黒いのが出現した。
消太くんが個性を消した所を私が捕らえる。
そう思って雲を出そうとした時、
オールマイトが叫んだ。
「待って!
さっきと明らかに違う……」
心操くんが捕縛布を使って落としたパイプを緑谷くんが黒いのを操って掴んだ、が一瞬で消えた。
そして捕縛布を使い、逃げる心操くんを追っていく。
心操くん、移動がかなりスムーズになった。
話しかけたらすぐに落下していたのに……。
訓練、頑張ってたもんなぁ……。
走り込みもいつの間にか私と同じペースで走れるようになっていたし、倒れ込むこともなくなった。
体育祭の頃の心操くんは、もういない。
物凄いスピードで成長している。
……だけど、成長しているのはヒーロー科も同じ。
緑谷くんは心操くんが咄嗟に繰り出した捕縛布を身体を回転させて巻き取り、一瞬で距離を詰めて心操くんを制圧した。
第五セット、A組の勝利。
「みんな、お疲れ様!
さァ、戻って講評会だよ~!」
第五セットの面々を
他の生徒たちが待機している広場へ移動するように促す。
歩き出す生徒たちを見送り、
中々歩き出さない心操くんをチラッと覗き見た。
「……先生」
捕縛布をギュッと握り、悔しそうな顔をしている心操くん。
「一人では何も出来なかった。
……まだ力不足です。
今回の演習、俺の編入試験も兼ねてたんですよね?」
ブラド先生が驚いて、
私と消太くんに編入試験の事を伝えたのか確認してきた。
私も消太くんもブンブンと首を振った。
「いえ、時期や今回の形式を考えると
俺を試しやすい形式でしたし、
俺だけ2回参加だし……」