第36章 合同戦闘訓練
『さて、第四セット!
AB共に一勝一分け、現在両者互角のように思えるがァ〜!?
しかしA組の一勝はほぼ心操のおかげ!
はたして互角と呼べるのかァ!?』
ブラド先生によるB組愛の行き過ぎた実況にA組生徒はブーイングの嵐。
消太くんがA組生徒のブーイングを止めに入っているが、実際に深く対策を練って臨んでいるのはB組だ。
私はブーイングを気にも留めないブラド先生を苦笑いで見つめる。
「もォ〜!!
コーヘーコーセーに霞先生がやってよォ!」
「そうやそうや〜!!」
芦戸さんと麗日さんに縋りつかれた。
「ハハハ……
あんなにノリノリなブラド先生からマイクを取り上げられないよ〜。」
「そこをなんとかァ〜!!」
そうこうしている内に
第四セットの面々が動き出した。
A組は爆豪くん、耳郎さん、砂藤くん、瀬呂くんとこれまたバランスの良いチーム。
対するB組は推薦入学者でもある取陰さん率いるチーム。
どちらも曲者揃い。
A組は爆豪くんが先頭を進みながら耳郎さんの個性でB組の面々を探す。
B組は取陰さんが個性で分裂し、耳郎さんの索敵を逆手に取った。
そして凡戸くんの個性と鎌切くんで一網打尽にする。
相変わらずB組は過去のデータを元にきちんと作戦を練っている。
しかし、あの協調性が皆無だった爆豪くんが、真っ先に狙われた耳郎さんを助け(足蹴でだったけど…)頼るべき所は仲間に任せ、持ち前の機動力でB組を追い込んでいく。
爆豪くんを中心にA組が素晴らしいチーム力を見せ、あっという間にA組の完全勝利。
「すごい!!!」
自然と声が漏れた。
爆豪くんは依然とは比べ物にならない程、周りを信頼し、「チーム」として勝利を掴んだ。
少し前の爆豪くんだったら、すべての敵を一人で倒そうとしていたはず。
短期決着、必要以上の損害も無し。
まさに言うこと無しの完封。