第36章 合同戦闘訓練
「被害がえげつないですね。」
私と消太くんの近くに心操くんがモニターを見つめながらやってきた。
「ヒーロー科の訓練とはこういうもんだ。」
「それにしても壊しすぎだな〜。」
「移動を兼ねて少し休憩挟むか、ブラドに伝えてくる。」
消太くんはブラド先生の方へ歩いて行った。
「本来なら現場の被害は抑えないとね。
街中は当たり前として、こういう工場地帯でも二次災害の危険があるからね!」
「俺の個性だとここまでの被害は起きなさそうですけど……」
「だとしても敵にここまで暴れさせちゃダメってことよ。」
「なるほど……。」
それなら暴れそうな奴を率先して洗脳して……と心操くんはブツブツと呟いている。
「今回みたいに相手の人数や個性が把握できている場合は、自分の個性を誰にどのタイミングで使用すれば有意に働くか、それを瞬時に見極めることが重要だね。」
「はい。」
心操くんはコクンと頷いた。
私もにっこりと笑顔を返す。
「……楽しい?」
「…………はい。」
心操くんは少し照れたように視線を逸らした。
アハハッと声を出して笑ってしまった。
「素直でよろしい!」
普段、二人で訓練している時だったら撫でくり回していただろうが、今は授業中なのでグッと堪えた。