第36章 合同戦闘訓練
「偏向実況やめろォ〜!!」
A組の生徒たちがブラド先生に抗議デモをしているのを苦笑いで見守りながら、モニターを観る。
A組は八百万さんを、B組は拳藤さんを中心に作戦を組み立ている。
このセットも細かいところまでメモを取っておく。
「熱心だな。」
ノートにメモを取る私の横に立ち、モニターを見つめている消太くん。
「今回は特にね。
A組とB組の実践訓練なんて中々ないもの。」
「そうだな。」
「八百万さんは特に期末の演習試験から成長が著しいね。」
「もともと実力はある子だよ。
まだまだこんなもんで満足されては困るけどな。」
消太くんはジッとモニターを見つめている。
首に巻く捕縛布に埋もれていて見えないが、口元は微笑んでいるように思えた。
期末演習試験の時を思い出して、私の口元も少し緩む。
相変わらず、消太くんは生徒のことをよく見ている先生だ。
結果的にA組は敗れたが、どちらも紙一重のいい試合だった。