第35章 深く深く
「相澤くんと霞くんなら、お互いの仕事に理解もあるだろうし、何より信頼し合ってるからね。
だから……羨ましいなって。
思えば私は、一人で突き進んでしまって周りの事なんて後回しにしてしまっていたからね。」
「オールマイト……。」
長年、No1ヒーローとして
トップを走り続けてきたオールマイト。
神野の事件前は本来の姿を隠して活動していた。
事情を知る人も今よりずっと少なかったはずだ。
そんな状態で信頼をおける人を多く作るのなんて、難しいだろう……。
少なくとも私には無理だ。
「オールマイト、私は雄英の先生方を尊敬しています。それに、信頼もしています。
消太くんは勿論ですが、ひざしくんもミッドナイトさんも。
オールマイトもその一人です。
オールマイトがこれから周りを後回しにして一人で突き進んで行ってしまったとしても、共に歩めるように食らい付いて行きますよ。
私、意外と粘着質なんですからね?」
最後の一枚のお皿を拭き終わって
棚へと仕舞い、オールマイトに笑いかけた。
『今まで』と『これから』は違う。
オールマイトが本当に信頼できる人をこれから作っていけばいいのだから。
オールマイトは驚いた表情をしてから困ったように笑った。
「霞くんには敵わないね。」
「片想いは得意なんですからね!」
「ハハハ!
そういう意味なら、私たちはすでに両想いだと思うけどな!」