第35章 深く深く
大急ぎでシャワーを浴びて、支度を整えた。
ヒーロー服に着替えてから、談話スペースに向かうとミッドナイトさんは落ち着きを取り戻したようで、いつでも出勤できるよう準備を終えていた。
「すみません、お待たせしました。」
「いいのよ。はい、コレ。
簡単だけど、パンとコーヒー。」
焼いたトーストとバター、
そして香りの良いコーヒーを目の前に出してくれた。
ゆっくり準備する時間もなかった為、
今日は朝食抜きを覚悟していた。
先ほどは女豹のようなミッドナイトだったが
今は天使にみえる。頼れる先輩!
「ありがとうございます!
お腹ぺっこぺこだったんです!」
いただきます!と手を合わせて
パンのかぶりついた。
小麦の香りが鼻から抜ける。
美味しい、幸せだぁ……。
「それで、それで!?
詳しい話は今日の夜、ゆっくり聞くから覚悟してね!?」
ミッドナイトさんにはたくさん相談に乗ってもらったから、きちんと報告しないととは思っていた。
まさか、朝帰り(?)の現場を目撃されるとは……。
「はい、あの……。
この前、病院で気持ちを伝えてもらって……
その……付き合うことになりました。」
「キャ~!!よかったわねぇ♪
相澤くんってば、ようやく言ったのね!」
恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちが
織り交ざり、緩んでしまいそうな口元をトーストで隠した。
ミッドナイトさんはニコニコとこちらを見ている。
「本当に、よかったわね。
霞ちゃん、幸せになるのよ?」
「……はい。ありがとうございます。
また、いろいろ相談してもいいですか?」
「もっちろん!」
イヤ〜、青春ねぇ♡と嬉しそうに身体をくねらせているミッドナイトさん。
自分の事のように喜んでくれていて、私も嬉しい。
そんなミッドナイトさんを横目にトーストを食べ進めた。