第35章 深く深く
「……ん、」
人の気配を感じて目を覚ました。
ゆっくりと瞼を開くと、目の前に広がる肌色。
そしていつもの枕とは違いゴツゴツとした感覚。
思考が段々とはっきりしてきて目線を上げる。
スゥスゥと整った寝息を立てて眠る消太くんが見えた。
改めて消太くんを見ると、眠る前までの情事を思い出されて顔から火が出そうだ。
何度も何度も求められ、最後は気を失ったのか記憶がない。
羞恥が上回り、クルッと身体の向きを変えて消太くんに背を向けた。
カーテンの隙間からは薄明るい日差しがほんのりと舞い込んでいる。
まだ日が昇るような時間帯ではなさそうだった。
もう少ししたら起こして、部屋に戻るように伝えないと……。
いくら想い合ってると言えど、ここは学びの場。
生徒たちに見つかる事はなくとも他の先生方に見つかるのもなんとなく後ろめたい。
仕事に支障が出ないように気をつけないと。
消太くんは大丈夫だろうが、問題は私。
すぐ顔に出てしまうから……。