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partly cloudy 【ヒロアカ】

第34章 踏み出す一歩





「そ、そんなことより!
相澤先生に用事じゃないの?」


「あー……はい。
今度ヒーロー科の授業に参加するんです。
相澤先生から聞いてますよね?」


うん。と返事をした。
もちろん私も観に行く予定だし、生徒たちの成長を見れる機会なので楽しみしている。


「その……参加するつもりではいるんですけど、少し参加の返事を待ってもらってたんで……その返答をそろそろしなくちゃなって。」


心操くんは再び首に手を当てた。
この行為は彼の癖で、本心でない事を話す時や不安な事がある時によくやっている。



「……何か迷ってるの?」


心操くんは少し考えると
エリちゃんにお邪魔してもいい?と声をかけてから、私の横に腰掛けた。


「正直、不安はあります。
今日まで相澤先生と霞先生に稽古つけてもらっておいて、まったく通用しなかったらどうしよう…とか。
ヒーロー科に早く追いつかないと行けないから、訓練で躓くわけにはいかないし……。
せっかく頂いたチャンスだから、必ず活かさないとっていうプレッシャーもあります。」



心操くんは膝の上で拳を作り、下を向いている。
不安な気持ちもプレッシャーもわかる。
そしてそれを誰にも相談できない状況なのも理解できる。
普通科の友達には転科するかもしれないという負い目を感じて言えないだろうし、消太くんに言えばこのチャンス自体取り消しにされかねない。
もちろん、消太くんはそんなことしないだろうし、相談を受ければ親身に聞いてくれるだろう。
でも、心操くんの立場的に消太くんに話すのは中々勇気がいると思う。
私だったら話しても良いと思ってくれたのは、とても嬉しい。
いくらでも相談にのる。
でも、今の心操くんに必要なのは慰めの言葉ではない。




「……なるほどね。
まあ、一言言わせてもらうなら
おこがましい、かな。」


予想外の言葉だったのか
心操くんは驚いた顔で私をみた。



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