第34章 踏み出す一歩
消太くんと入れ替わりで
13号は仕事へ戻って行った。
エリちゃんは2、3枚クッキーを食べると、またお絵描きを始めた。
最近は文字を書く練習もしているようで、机と向き合うエリちゃんを見かける事が多い。
雄英の先生たちが入れ替わりで色々と勉強を教えているから、将来は有望なのではないか、と私はちょっぴり期待している。
「部屋で休まなくて平気か?」
ソファーに腰掛けてコーヒーを飲んでいると消太くんが心配してくれた。
「平気だよ。
ここでダラダラしているだけだもん。」
「霞ちゃん、どこか悪いの…?」
消太くんの様子を感じ取り、
エリちゃんまで心配そうに声を掛けてきた。
「大丈夫!
ちょっとだけ怪我しちゃったの。
もう痛くないし、元気だよ!」
心配しないで!と笑顔を見せた。
エリちゃんには、心配かけない為にも怪我したこと自体を内緒にするべきなのかもしれないが、私はエリちゃんにあまり嘘や隠し事をしたくなかった。
引き取り先の保護者という立場ではなく、あくまで、私はエリちゃんの友達でいたいのだ。
「私、エリちゃんと女子会してるし、消太くん仕事戻ったら?
いろいろ溜まってるでしょう?」
「誰のせいで溜まってると思ってんだよ。」
「………スミマセン。」
消太くんは呆れながらハァ、とため息をついて立ち上がった。
「エリちゃん、
霞が調子悪そうだったら教えてくれる?」
「うん!まかせて!」
頼むね。とエリちゃんに微笑んでから消太くんは部屋を出て行った。
何故、エリちゃんに………。
相変わらず信用のない私だ。
エリちゃんは消太くんにお願いされたのが嬉しいのか、お絵描きの手を止めて私を凝視している。
「そんなに見られてたら穴が開いちゃうよ…」