第34章 踏み出す一歩
「終わったァ〜……」
「オールマイトお疲れ様でした!」
椅子に座ったまま万歳をしているオールマイトにホットコーヒーを淹れた。
「いやぁ、さすがだよね。
霞くんが戻ってきたら事務仕事がサクサク進んだよ〜。」
「オールマイト、イレイザーにビクビクしっぱなしだったッスもんね!」
「霞ちゃんがいない間は職員室の空気ピリついてたのよ〜?
相澤くんったらずっと鬼の形相。」
「……聞こえてるぞ。」
消太くんの声に反応してビクッとするオールマイトに、ケラケラ笑ってるひざしくん。
ね、怖い顔でしょう?と私に確認してくるミッドナイト。
戻っていいものかと悩んでいた事が嘘みたいに、気持ちが晴れている。
当たり前の日常に戻ってこられて、とても嬉しい。
「霞、終わったなら早めに上がれよ。
本調子じゃないんだから無理するな。」
「はーい!」
「ハイ。だ、伸ばすな。」
「…………ハイ。」
両想いになれたのは、やっぱり夢だったのか?と勘違いしてしまいそうな程、以前と変わらない態度の消太くん。
ああ、帰ってきたんだ。
生きて帰れて、良かった。
改めてそう強く思った。