第34章 踏み出す一歩
「お疲れさん。」
消太くんが病室に戻ってきた。
寝袋を抱えている。
またここで寝るつもりなのか……。
「ホテル取らなかったの?」
「いいだろ、別に。
何もしねぇって。」
そういう心配をしている訳じゃないんだってば……。
割と頑固だからな、とすぐに諦めた。
消太くんがベッドの脇に腰掛けた。
「ねぇ、消太くん。
私、雄英に戻っていいのかな……。
また狙われる可能性がゼロじゃない以上、生徒たちに危害が加わるかもしれない……。」
「その件なら、もう校長と話したよ。
生徒たちの事なら心配するな。
雄英の警備は万全だし、休みの帰省時も護衛を付けることになってる。
心配するな。」
……でも、と言葉を続けると
消太くんが食い気味に言った。
「そんな事言ったら、
オールマイトは何回出て行かなきゃならないって話だろうが。」
「……ハハッ、確かに。」
思わず笑ってしまう。
そうは言ってもオールマイトと私では実力差があり過ぎるが。