第34章 踏み出す一歩
「クラウディア、療養中なのにすまない。」
病室へやって来たのは、塚内警部とグラントリノ。
二人は今、敵連合捜索チームとして動いている。
ついこの間、連合で一番厄介なワープ使い、黒霧を捕まえたと聞き全員捕獲も時間の問題だと思っていた。
しかし、現実はそう簡単ではないようだ。
「関西を中心に身元不明の焼死体が多く発見されていて、荼毘は関西にいると踏んではいたんだが……中々尻尾が掴めなんだ。
悪かったなぁ、クラウディア。」
「そんな……
私の方こそ、せっかく捕まえるチャンスだったのに申し訳ないです。」
「荼毘と一対一で対峙して生き残ったんだ、それだけで素晴らしいことだよ。」
塚内さんの言葉にグラントリノのうんうんと頷いている。
「……それなんですが、荼毘は私を焼き殺すつもりはなかったようです。」
「それは、どういう……?」
私は荼毘との会話を順を追って細かく説明した。
口に出して説明すると自分の頭の中でも自然に整理がつく。
「脳無って…死体に複数の個性を与えて動かしている人工物……なんですよね?」
「ああ。
USJで捕らえた脳無と神野で捕らえた脳無を調べたところ、人間のDNAが検出されとる。
先の九州でエンデヴァー、ホークスと対峙した脳無についてはまだ調査中じゃ。
こいつは今までの脳無とは毛色が違ったらしい。」
「クラウディアのDNAを欲しがっていたってのが気になりますね。」