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partly cloudy 【ヒロアカ】

第33章 あなたのヒーローに






ひざしくんを見送り、
消太くんと二人きりになった。


「何か欲しいものあるか?」


首を横に振った。
消太くんだって忙しいだろう、
ひざしくんと一緒に帰った方がいいんじゃ…

そんな事を思いながら消太くんを見つめた。


「いいんだよ。気にするな。」


優しい顔で私の頭を撫でてから
ベットの横のパイプ椅子に消太くんは腰掛けた。



「お前が助けた人、一命を取り留めたそうだ。
この辺りのプロヒーローらしい。
ご家族がお前に御礼伝えてくれってさ。」


あ、荼毘に襲われていた人………。
よかった、助けられて。
でも酷い火傷だった、もっと早く駆けつけていれば………。
後悔したって仕方がないけれど。




「俺は怖かった………。
昔を……白雲を……思い出した。
白雲の時の事を知ってるからこそ
今回はもっと怖かった。」


消太くんがポツポツと話し出した。
私は家族や大切な人達にこういう思いをさせたくなくて頑張ってきたのに、今まさに大切な人を傷付けている。


「霞を責めているんじゃない。
お前がいなかったら、死人が出ていたしな。
よくやったよ………。
でも俺は思い知った、霞がいないと………」


消太くんは俯いてしまった。
膝の上で固く握られている傷だらけの拳が震えている。



思うように動かない身体をどうにか起こし
消太くんに近づいて、震える拳を包み込んだ。


「し゛…うた゛く゛………」


ガラガラな声がでた。

心配かけてごめん。
泣かないで、私はここにいる。
生きてるよ。

声がうまく出ないと
伝えたい事が伝えられない………

それなら………



「無理に声出すな………っ」



消太くんの両頬に手を当て、
無理矢理に顔を近付け目を合わせた。


「ここに……いる……よ」


掠れた声で必死に伝えた。




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