第33章 あなたのヒーローに
「しょ…たく……ないで……」
霞が目を閉じたままポツリと呟いた。
「……霞?霞!?
わかるか!?俺だ!!」
「しょ…うた……くん……」
ぼんやりと霞が目を開けた。
よかった……。
「今、先生呼んでくる!」
慌てて立ち上がろうとした俺の手を霞が力無く握った。
「どうした……?」
「心配かけて…ごめ…なさい…」
ぼんやりとした目で霞がこっちを見て、俺の頬に手を添えてきた。
抱き締めたい衝動に駆られたが、必死に堪えて霞が添えてきた手を握りしめるに留めた。
「ああ、説教は後でたっぷりしてやる。
今はゆっくり休め、な?」
コクンと霞が小さく頷いた。
そして再びゆっくりと目を閉じた。
眠ってしまったようだ。
「生きててくれて、ありがとう」
霞の額に、ゆっくりと唇を落とした。