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partly cloudy 【ヒロアカ】

第32章 立ち込める暗雲







「もっとスピード出せないのかよ!」


「少し落ち着きな、急かしたって仕方ないだろう!」



冷静になれず、タクシーを急かす俺にリカバリガールが𠮟責した。
チッ、舌打ちをして下唇を噛んだ。

教師全員で向かうわけには行かず、
俺とマイク、リカバリーガールの3人でタクシーへ乗り込み最寄りの駅から新幹線で霞が運ばれた病院へと向かっていた。




病院に到着して処置室へと走る。

処置室のドアを勢いよく開けると
うつ伏せで寝かされている霞がいた。

腕や指先から管が伸び、機械音がピッピッと鳴り響く。
一通りの処置は終わったようで、背中全面に包帯が巻かれている。


ガラガラッとドアが開くと
リカバリーガールと担当医が入ってきた。


「お疲れ様です。
今、リカバリーガールとはお話しさせてもらったのですが、背中全面に深達性の熱傷と顔面や腕、足、喉に軽度の熱傷があります。
煙も多く吸い込んだようで意識はまだ戻っておりません。
ひと先ず、熱傷の処置は終わってますし、今の所は命に別状はありません。」


「まだ意識が戻らないようだから、
強めの治癒はかけられないね………。
軽い治癒を数日かけて続けようかね。」


「………よろしくお願いします。」


俺とマイクはバァさんと先生に頭を下げた。




背中の火傷の様子を見るからと
俺とマイクは廊下に出された。


廊下に出た瞬間、
足から力が抜けて膝から崩れ落ちた。

マイクが慌てて支えてくれ、
すぐ近くにあったベンチまで運んでくれた。


「悪い………。」

「気にすんなよ、
俺も霞の顔みたら少し安心したわ。」


ハァ……とため息をついてマイクは壁にもたれた。



「……………生きてた、」

俺は前屈みになり、マイクに聞こえない音量で呟いたつもりだった。
………が、聞こえていたのだろうか、
マイクが意味ありげに肩をポンポンと叩いた。





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