第31章 あたたかい場所
『今日、会議で正式に決まったんだが
心操のヒーロー科への編入試験を兼ねて
今度のA組とB組対抗戦に参加させることになった。』
「え!?本当に!?!?
うわ~、楽しみだけどなんかドキドキしてきた。」
『正直、ヒーロー科の連中と張り合うのは厳しいだろうがな。』
確かに、心操くんは遅れを取っている。
確実に力を付けてきているが、それはヒーロー科のみんなも同じだ。
そんなに甘くはないだろう。
「実践形式で捕縛布を試せる良い機会だと思う。
そんなに甘くないんだって思い知ってもらう為にも、一度ズタボロにやられておくのもいいのかもしれないね。」
『………お前、心操には厳しいよな。
それだけ期待してるってことか。』
「もちろん!
期待しかしてないよ!
なんてったってイレイザーヘッドの愛弟子だもん。」
『そうか。
遅くに悪かったな。ゆっくり休めよ。』
「消太くんもね。あ、お土産は何がいい?」
『土産?要らねえよ。
そんな時間あったら真っ直ぐ素早く帰ってこい。
………朝は霞のコーヒー飲まないと落ち着かない。』
最後の方は声が小さすぎてよく聞こえなかったが、聞き間違いでなければ嬉しい。
お土産はちょっといいコーヒー豆にしよう。
電話が来る前は帰るのが寂しいって考えていたのに、消太くんの電話一つで早く帰りたいって思ってしまう。
なんて単純なのだろう、私……。