第2章 雨と雲
数分後、消太くんは戻ってきた。
脳内ショート寸前で立ち尽くしていた私。
「お待たせ。行こう。」
「あ、うん…」
サッサと靴を履いて正面玄関へ向かっていく消太くんをボーッと見ていた。
「霞?」
「あ、今行く!」
いけない、冷静に!
すぐに靴を引っ張り出して履いて
消太くんを追いかけた。
「陽が落ちるの早くなったよな」
「そうだね、暗くなるの早いよね」
秋も深まり、下校時間には薄暗くなってきている。
「今日は一日パトロール?」
「そうだな、今日は歩き回って疲れたよ。
雲の個性が羨ましくなった」
お兄ちゃんはパトロール中、
雲で移動しているらしい
消太くんも乗せてあげればいいのに。
「お疲れのところ、家まで送ってもらうの申し訳ないな。個性使えれば一瞬で帰れるのに。」
まだヒーロー免許を持っていない私は
学校の外での個性の使用は禁止されている。
免許を取ったとしても私用での個性使用は認められていないからどちらにせよ、歩かなくてはダメだが。
「このくらい平気だよ」
消太くんは優しく笑ってくれている。
口元だけだけど。
それを見てキュンとしてしまう。
あぁ、意識しちゃうと昨日のお兄ちゃんの言葉が頭をよぎる…
“ショータに告らねぇの?”
雑念よ、出て行けぇ!