第31章 あたたかい場所
「皆さ~ん、お疲れ様です~。」
「ホークスから差し入れ頂きました~!!」
作業を止めて休憩している皆さんが一斉に喜びの声を上げた。
喜んでいる一瞬のうちにホークスが全員に差し入れを配り終える。
差し入れを配るのまで速すぎる男。
「この調子ならもう大丈夫そうね、ホークス。」
「ま、俺も休んでばっかりじゃいられないんでね!」
目の前を通りかかる人々がホークスに御礼を告げて通る。
それに手を上げて笑顔を返すホークス。
「霞さん、今日飯でもどうです?」
「残念、今日はすでにデートのお誘い頂いてるの。」
「え!?!?」
ホークスがビックリして飛び上がった。
信じられない…といった顔でこっちを見た。
「な~に~?失礼じゃない?
私だってね、デートに誘ってくれる殿方くらいいますゥ!」
「…い、いや…だって、」
「おっ!いたいた、クラウディア!」
「今日のラーメン、ちょっと入り組んだ所だから駅前のコンビニ集合な~!」
「ばり美味いっちゃ、楽しみにしといてな!
あ、ホークス、差し入れありがとうな~!!」
昨日から引き続き一緒に作業しているおじさん達が美味しいラーメン屋さんに連れて行ってくれるというのだ。
私はそれを楽しみに今日も頑張ったのだ、絶対に食べる!
声をかけてくれたおじさん達に笑顔で手をヒラヒラ振った。
また後でな~!と去っていった。
「……今のが例の殿方?」
「そうよ?正確には殿方たち、かな。
ラーメンいいでしょ~!羨ましいでしょ~!?」
「ハイハイ。」
飽きれた、という顔でホークスがため息をついたが、
私の頭の中は夕飯のラーメンでいっぱいだった。