第30章 シンプル
「好きって言うのは語弊ありますけど……。
尊敬してます。エンデヴァーさんは俺の原点なんです。」
ホークスもヘラッと笑った。
「あんな風になりたいんですよ。」
「うん。わかるよ。」
私にも目標として尊敬している人がいる。
ホークスの気持ちは痛いほどにわかる。
共に戦い、たくさんの人々を救ったホークスとエンデヴァーさん。
私からしたら誇って然るべきだと思うが、ホークスの表情は浮かない。
エンデヴァーさんが傷付いてしまった事で自分を責めているのだろうか。
「元気がないのはエンデヴァーさんが心配だから?」
「……いや、まぁそれもそうですけど。
……俺のせいだから……ですかね。」
「怪我はリカバリーガールがいるから安心よ。
ホークスはのんびりと羽を休めて。」
「霞さん……霞さんは自分のせいで大事な人が傷付いたら、どうします?」
「自分の事を一生許せないと思う。」
「そうッスよね……」
「でも、私の大事な人は『お前のせいじゃない、気にするな』って言って謝罪を受け入れてくれなそう。
そんで会うたびに辛気臭い顔すんなって怒られそう。」
消太くんはそんな感じ。
怒られてからチョップもされそう。
想像してフフッと笑みが零れる。
「エンデヴァーさんも『お前如きが俺に影響を与えられる訳がないだろう!』とか言いそう。」
「アハハハ!それ、言いそう!!」