第30章 シンプル
私の抜けた腰もなんとか落ち着き、ソファーに腰を下ろしてからひざしくんとニュースの続きを見ていた。
崩壊したビルの映像が流れている。
死傷者はいなかったようだ。
さすが、ホークス。
No.2ヒーローは伊達じゃない。
オールマイトはエリちゃんの様子を見に行ってくれた。
私も顔を出そうと思っていたが、やはり九州の様子が気になってしまう。
しばらくするとA組の寮へ轟くんの様子を見に行っていた消太くんが戻ってきた。
「轟くんの様子は……?」
「大丈夫だよ。
流石に中継中は取り乱していたが、今は落ち着いてる。」
「そっか、よかった。」
轟くんがエンデヴァーさんをあまりよく思っていない事は仮免講習の時から気がついていた。
それでも自分の父親が、必死に抗い戦う姿は彼にも響いたのではないだろうか。
消太くんが私の隣に腰を下ろし、顔色を伺うように覗き込んできた。
「霞も大丈夫か……?」
「私は大丈夫。」
にっこりと笑顔を返すと
少し安堵の表情を浮かべてくれた。
「霞、復興の手伝いに行きたいってよ。
協力してやろうぜ?」
ひざしくんが頭の後ろで手を組んでニヤッと笑った。
「ああ、それがいいな。」