第30章 シンプル
エンデヴァーが脳無を抱えたまま高く空へ登っていき、カッと眩い炎を放った。
辺りが炎で明るく照らされた。
そして脳無とエンデヴァーが地に落ちて行く。
「エンデヴァーさん……!」
皆、テレビに釘付けで声を発さない。
私の呟きだけが室内に響いた。
《エンデヴァー!!!
立っています、勝利の!いえ!!
始まりの、スタンディングです!!》
ワッと湧き上がる歓声と共に
リポーターから興奮した声が上がる。
オールマイトがソファーによろけながら座るのが横目に入ったが、私も腰が抜けその場にしゃがみ込んだ。
慌ててひざしくんが駆け寄ってきてくれた。
ホッとしたのも束の間、
エンデヴァーとホークスを蒼い炎が取り囲んだ。
「オイオイ!次から次へと何だよ!」
ひざしくんが声を上げた。
《敵連合!荼毘です!!
炎の壁を展開し、エンデヴァーらを取り囲んでおります!!》
「荼毘……!?」
リポーターの声を聞いて、抜けたはずの腰が息を吹き返したようだ。
私は再び立ち上がり、テレビに近付いた。
荼毘が襲いかかろうとした時、ミルコが飛んで来たのが映った。
応援が来た、良かった……。
荼毘はミルコが来て、応戦は不可能と考えたのか神野の時のように消えた。