第30章 シンプル
「クラウディア、僕がエリちゃん見ています。
前の担当地域なら気になるでしょう?」
「13号……ありがとう。」
13号がエリちゃんを部屋に連れて行ってくれたので、私はまたテレビを見つめ直した。
テレビの中継ヘリも近付けないのであろう、遠くからしかわからないがエンデヴァーが倒れているのが映った。
《この光景、嫌でも思い出される3ヶ月前の悪夢……》
オールマイトをチラッと見ると脇腹に手を当て、立ち上がっている。
テレビの前で祈り見守るしかできない、この状況。
まさに神野でのオールマイトとオールフォーワンとの対峙を思い出す。
《これが象徴の不在……》
テレビに映るのは逃げ惑う人々、リポーターの声は絶望そのものだった。
《てきとうな事言うなや!!
エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!
おらんもんの尾っぽ引いて勝手に絶望すんなや!
今俺らの為に体張っとる男は誰や!見ろや!!》
一人の少年の叫び声が響く。
「エンデヴァーさん……ホークス……」
二人が必死に脳無に食らい付くのをただただ見守ることしかできない。
「……頑張れ!!!」
ギュッと祈るように拳を握る。