第28章 不器用な人
「クラウディア〜!!!」
職員室では来賓用のソファーにプッシーキャッツの皆さんが座っていて、こちらに気がつくとラグドールがすぐに立ち上がって駆け寄って来てくれた。
「ラグドール!!皆さんも!」
ラグドールに抱き止め、マンダレイ、ピクシーボブ、虎さんを見回す。
「あの時は巻き込んでしまって申し訳ありませんでした……。」
「なーに言ってるにゃん!
アチキだってプロヒーロー!
いつだって覚悟はできてるんだよ!」
ラグドールはギュッと抱きしめてくれて、ピクシーボブが背中をさすってくれた。
涙が溢れそうなのを堪えながら、再会できた嬉しさを噛み締める。
少し落ち着いてから顔を上げると、ソファーに座ったままの洸汰くんと目が合った。
「洸汰くんも来てくれたんだね!」
「……うん。」
「君にとってのヒーロー、見つかった?」
洸汰くんの足元を見ると、緑谷くんの靴にそっくりな赤い靴。
まだ新しいようだから最近買ったのかな。
「……さぁ、どうだろうね。」
ツーンとそっぽを向いて洸汰くんが答えた。
でもその答えが何だか嬉しくなって私はニコニコと笑ってしまう。
恥ずかしそうに耳を赤らめている洸汰くん。
まだ素直にはなってなさそうだけど、前に進めているようだ。