第28章 不器用な人
11月の下旬に差し掛かり
ついにエリちゃんは雄英に住み始める事になった。
「エリちゃん!」
「霞ちゃん!」
きゃ〜!待ってたよ〜!!と
エリちゃんに抱きつくと、エリちゃんも恐る恐る腕をそっと回してくれた。
「エリちゃん、霞先生とすっかり仲良しさんだね!」
通形くんがニカッと笑った。
消太くんも微笑んでいて
エリちゃんは少し恥ずかしそうにしている。
「じゃあ、さっそく中に入ろう!
お部屋見てみて!可愛くしちゃった!
今日はお風呂も一緒に入ろうね♪」
「うん!」
エリちゃんにお部屋を案内して、談話室のソファーに腰掛けていると通形くんが連れてきた3年生の波動さんと天喰くんがやってきた。
「エリちゃんだぁ!
ほんとにいる!不思議!」
「お世話になります。」
波動さんがエリちゃんの隣に座ってニコニコと微笑む。
「今、相澤先生がデクくんたちも呼びに行ってるからね!」
文化祭に来たことでだいぶ人に慣れたのか、気を許しているメンバーだからか、エリちゃんは思っていたよりもずっとリラックスしている。
「それじゃ、私はちょっと職員室に呼ばれてるから行ってくる!
通形くん達、あと任せていいかな?」
「はーい!」
「エリちゃん、また後でね!」
「うん。」
控えめに手を振ってくれるエリちゃんに笑い返して、私は職員室へと向かった。