第2章 雨と雲
「なぁ、ショータ」
「ん?」
その日は雨で屋上へは行かず
飯を食べ終わった後
屋上までの階段の踊り場にいた。
山田はインターンの為、公欠でいない。
「お前、霞のことどう思ってる?」
ブッッッ!
飲んでいたお茶を吹き出した。
「な、なんだよ!いきなり!」
「あいつさー、ショータのこと
気になってんだろ。多分。」
「んなわけ、ないだろ!」
「おれが何年あいつの兄貴やってると思ってんだよ!大体わかるわ!あいつすぐ表情に出るからわかりやすいしな!」
俺が何も答えられずにいると
白雲が続けて話した。
「霞とショータって似てるところあるよな」
「どこが。霞は俺と違って個性も万能で才能もあって努力家で。
明るいし、人懐っこいし。俺なんかと全然違うだろ。」
何を言っているんだよ、と飽きれた目でみてやった。
「ショータもだけど、霞もさ~、もっと自分に自信持っていいと思うんだよな。個性の使い方なんて俺よりセンスあるし。
あいつ、昔から主体性がなくてさ。おれの後ばっかり付いてくるんだよ。それはそれで可愛いんだけどな。雄英に来たのも俺がいるからなんとなくって感じだったしな。」
「なんとなくで雄英入るのもすごいけどな。
でも一年の頃なんてそんなもんじゃないか?
俺だって未だに明確なヒーロー像なんてないぞ」
「最近はさ、おれの後ってゆうよりショータの後ばっか着いていってるだろ?
だからなんてゆうか、良い傾向かなってさ!」
白雲は天井を見上げている。
俺は飲んでいたお茶に再び口をつける。
「ショータになら、安心して任せられるな!頼んだぜ!」
天井を見上げたままニカッと笑った。
そんな白雲の様子を見ながら霞のことを思い出す。
白雲は俺と霞が似ていると言ったが
俺からしてみたらお前ら兄妹は本当に似ていると思う。
兄妹そろって俺を過大評価している。
白雲兄妹が俺を認めてくれている。
俺は俺でいいんだと思わせてくれる。
ふと気恥ずかしくなり、俺も天井を見上げる。
「…勝手に任されても困る」
「照れんなって!」