第27章 仲直りと夜の空
「消太くん、お誕生日おめでとう。」
「……ん?」
霞が手に持っていた携帯電話を俺の方に見せてきた。
ディスプレイが0:00と表示され、日付が11月8日になっていた。
ああ、誕生日か……。
すっかり忘れていた。
「やっぱり忘れてた?」
霞は俺の顔を覗き込んで意地悪そうに笑った。
いちいち誕生日覚えておくような年齢じゃねぇよ……。
「はい、コレ。
誕生日プレゼント!」
霞が鞄の中から綺麗にラッピングされたピンクのリボンが結ばれている紺のビニール袋を取り出した。
まさか、プレゼントまで用意してくれていたとは……。
驚きなから受け取ると思いの外ずっしりしていた。
「……ありがとう。
開けてみてもいいか?」
どうぞどうぞ、と霞が勧めてくれたので形良く結ばれているリボンを解く。
開けてみてまた驚く。
どうりで重いわけだ……。
消耗品である小型武器とナイフ用の防錆オイル、それにホットアイマスクが入っていた。
なかなか粋な贈り物だ。
「消太くんの欲しい物とか思い付かなかったから使える物がいいよな〜って思って。でも武器用品だけってのも可愛げないかも思ったからホットアイマスクも付けたの。
何回も繰り返し使えるやつなんだって!」
「……いいな、これ。
ありがとう。大事に使うよ。」
せっかくもらった武器はもったいなくて中々使えないかもしれないが。
「よかった〜。
高校の時は一年生の時しかお祝いできなかったから、今年はちゃんと祝えて嬉しい!」
「……そうだったっけか。」
笑って言う霞をみて、抱きしめたい衝動に駆られるのをグッと堪える。
高校の時は確か屋上で白雲と山田と霞にお祝いしてもらったな。
いつも食べていた栄養補給食品をもらった気がする。