第27章 仲直りと夜の空
霞のお願いを聞いて
何故か俺は霞の雲に乗っている。
こうやって高い所を飛ぶのは初めてだった。
「前から思ってたんだが、
今、俺が個性発動したら……落ちるよな。」
「ちょっと!!!
急に怖いこと言わないでよ!!」
俺の発言に恐怖を感じたのか
霞は雲のスピードを上げて
近くのビルの屋上に降りた。
「前に白雲がさ、
濡れた服をクラスのみんなの前で脱いで、下半身見えないように雲で隠してたことがあったんだよ。
おすしを拾ってきた時だったな、確か。」
「どんな個性の使い方してるのよ、まったく……。」
霞は呆れ顔で屋上のフェンスに寄りかかった。
「その時、今俺が個性消したらコイツ素っ裸になるなって思った事があった。
それをさっき思い出した。」
俺もフェンスに背を付けて
当時の馬鹿騒ぎを思い出してフッと笑った。
思い出さないようにしていたが、思い出してみればくだらない事ばっかりやってたな。
俺もよく笑っていたように思う。
「ほーんと、三馬鹿だよね。」
「何で俺も頭数に入ってるのか、疑問でしかなかったけどな。」
霞はニコニコと楽しそうに俺をみている。
「なんだよ……。」
「ああ、ごめん!
消太くんからお兄ちゃんの話を聞けるの嬉しくて。大体のエピソードがお馬鹿な話なのが残念だけど。」
あはは!と霞は笑って夜空を見上げた。
高校の頃はよく霞とこうやって屋上でいろいろ話しをしていたっけな。
あの頃は澄み切った青空を見上げていたが、今は真っ暗な夜の空。