第26章 強く想う
「本当に、ありがとうございました。」
「こちらこそ!
こうやってゆっくりお食事できただけで幸せです。
これからは霞さん……いや、クラウディアの1人のファンとして応援しています。」
店の外で改めて馬合さんに頭を下げると、嬉しい言葉が返ってきた。
応援してくれる人達がいる限り、私はヒーローとして頑張らないと。
タクシーまで手配してもらい、もう一度頭を下げて乗り込もうとした時……
「誰かァ!!!
引ったくりよォ〜!!!」
「ヒーローを呼んでくれ!!」
大通りの方から叫び声が聞こえた。
ハッと振り返り、馬合さんに早口で伝える。
「すみません!!
私、行きます!!!
危険なのですぐに離れて下さい!」
ヒーロー服ではなく、ワンピースなので普段より面積多めの雲を腰に纏う。
フワッと浮き上がり、叫び声のした方へ。
「馬合さん!
本当にありがとうございました!」
最後にもう一度、馬合さんに声をかけて現場に急行した。
「……やっぱり、ヒーローはかっこいいなぁ。」
馬合さんの呟きには、気が付かないまま。