第26章 強く想う
「……そうですか。
有能な経営者たるもの、引き際を見極める力も必要ですよね。
悔しいですが、憧れているだけの僕に霞さんが想う人を越えられそうにない……。」
「……すみません。」
「いえ、お気になさらないで下さい。
これからも雄英高校さんとは良いお付き合いを続けていきたいですし、霞さんも良かったら是非我が社のサポートアイテムを利用してもらえると嬉しいです。」
「それは、もちろんです!
なんならすでにお世話になっていますし!」
「ハハッ、ありがとうございます。
振られた相手に割引はしませんよ?
案外、小さい男なんですからね!」
アハハ!と馬合さんは笑った。
もちろん割引してもらおうなんて思ってもなかったが、気を遣って場を明るくしてくれたのだ。
申し訳ない、と俯いていた私も自然と笑顔になる。
馬合さんはとってもいい人だと改めて思う。
私には勿体ない人だ。
支払いを買って出たが、
最後に男を立ててくれと言われてしまい、けっきょくご馳走になってしまった。
これはサポートアイテムやコスチュームをお願いして売り上げに貢献するしかないな、そう心に誓い店を出た。