第26章 強く想う
消太くんはこちらを見ようともせずに冷たく言い放った。
何、その言い方……。
少しカチンと来てしまった。
確かに好意を伝えられた上での食事のお誘いを受けた。
でもそれだけだ。
今日はきちんとお断りするつもりでいるのに……。
「……何それ。
私が結婚でもしてヒーロー辞めるつもりでいるって思ってるってこと?」
「これを機に考えたらどうだって言ってるんだよ。時間は有限だ。合理的に行けよ。」
「私は自分で決めてこの道を選んだの。
簡単に辞められるわけないじゃない!
女の幸せは結婚なんて、そんな型に嵌めないで。
自分の幸せは自分で決める!」
つい、声を荒げてしまった。
消太くんは顔色ひとつ変えず、未だにこちらを見ようともしない。
「ねぇ!ちゃんとこっち見て話して。
言いたい事があるなら言いなよ!」
「まぁまぁ、落ち着けよ、霞。
イレイザー、疲れてんだよ。
頭凝り固まってんの。気にすんなって。」
消太くんに一歩詰め寄る私をひざしくんが止めに入る。
疲れていようがなんだろうが、私がヒーローとして歩むのを後押ししてくれた消太くんにだけは言われたくなかった。