第26章 強く想う
週末、昼間は天気が良く清々しい空が広がっていた。
午前中は心操くんの移動訓練に付き添い、午後は対人格闘の稽古で軽く汗を流した。
夜は、馬合さんと食事に行くので
シャワーで汗を流してから化粧を施し、高級な店でも浮かないように綺麗めのワンピースにカーディガンを羽織った。
ワインは楽しみだが、私は馬合さんにキチンとお伝えしないといけないことがある。
好きな人がいること。恋愛感情ありきで食事に行くことはもうできないということ。
期待させてしまってはいけない。
それに私は教師であり、プロヒーロー。
普通の女の子の様に恋愛はできないし、結婚もできない。
大企業の社長を支えていくような生き方はできないし、そんなつもりもない。
きちんと話をしなければ……。
エレベーターから降りて
談話室のソファーの前を通ると
消太くんとひざしくんがいた。
「おう、お出掛けか?
あのイケメンシャチョーさんと?」
ひざしくんがニヤニヤと茶化してくる。
もう、消太くんの前でやめてほしい……。
「ちょっとね!」
消太くんはチラッと私を見ただけで、すぐに視線を逸らしながら言った。
「良い男な上にサポート会社の社長なんだってな。
良かったじゃないか。うまくいくといいな。」
「そんなんじゃないよ。
ただ、ちょっと食事に行くだけ。」
「女としての幸せを掴むにはいい機会なんじゃないか?
お前だっていつまでもヒーローやっているつもりなんてないだろ。
年齢的にもいいチャンスじゃないか。
良い男は捕まえておけよ。」
「お、おい、イレイザー……」