第2章 雨と雲
合宿二日目。
昼間の訓練を終え、
あたりが暗くなってきてから
キャンプファイヤーが始まった。
今日は合宿所で寝るのではなく
各自でテントを組み立て外で野営をする訓練の一環。
お風呂だけは合宿所で済ませてきた。
火を見て楽しむ者、
友達と談笑する者、
各々好きなように過ごしていた。
「白雲!ちょっといいかな」
「あ、うん」
ちょっと行ってくる。と女子たちに告げ
B組の男子について少し離れた所へ行く。
「あの、昨日のことなんだけど…」
私から話を切り出した。
きちんと話をしないといけない。
「私ね、好きな人がいるの。
だから…あなたとは付き合えない。
ごめんなさい…」
「…そっかぁ」
B組の男子は苦笑いして呟いた。
「どんな人なのか、聞いてもいい?」
「…どんな人か、うーん。
優しくて、頼りになるんだけど、すごく自分に自信がない人でね。
責任感が強くて世話焼きで、支えてあげたくなる人。
うーん、うまく話せないなぁ・・でも本当に尊敬できる人。」
「…なるほどな、好きなんだな。
昨日電話してた人だろ?
電話してる時と同じ顔してるよ、今」
「え!?どんな顔!?」
思わず顔を覆った。
そんなにわかりやすい表情してる!?
自分ではわからない。
「ハハッ!勝ち目ないってのがよくわかった!
話してくれてありがとな!
これからも同じヒーロー志望として頑張ろうぜ」
「…うん!ありがとう」
最後に握手を交わした。
気まずい雰囲気で終わらないように
気を使ってくれたのだろう。
彼もまた、とても優しい人なんだと思う。