第25章 強敵
残された私とひざしくんは会場の端っこに移動し、壁に寄りかかりながらシャンパンを傾けている。
「霞、どーすんのよ。」
「どうしようね……。」
しばしの間、私とひざしくんは料理を食べたり、お酒を嗜んだり、たまたま来ていた共通の知り合いと会話をしたり、パーティーを満喫していた。
すると、挨拶周りを終えたのか
馬合さんがこちらに近付いてきた。
「プレゼント・マイク、すみませんが少しのお時間、クラウディアさんをお借りしてもいいですか?」
「OK!
オレはオレで楽しんでるからゆっくりして来いよ!霞。」
ひざしくんに背中をトンと押された。
馬合さんはニコニコとお礼を述べて私を外の庭園へとエスコートしてくれた。
「霞さん、と呼んでも構いませんか?」
「はい、もちろんです。」
「回りくどい誘い方をしてすみませんでした。
本当なら文化祭の時に直接お誘いできればよかったんですけどね……。」
ハハハ……と笑いながら、庭園のベンチに座るように促された。
ちょっと待っていて下さい、と中へ戻って行った馬合さん。
すぐに戻ってくるとブランケットと飲み物を持ってきてくれた。
「外は冷えますからね。
これ、良かったらどうぞ。」
何から何までスマートだ。
仕事のできる男はプライベートでもできる男なのだろうか。
さすがだな〜と他人事のように受け入れた。
「文化祭、楽しませてもらいました。
今年の雄英生も優秀な人材の宝庫ですね。」
「良かったです!
私の担当はヒーロー科なので、サポート科の子たちはあまり詳しく知らないのですが、努力家な子ばかりだと担任の先生から聞いています。」
「どの生徒の作品も素晴らしかったです。
説明の時なども目がキラキラしていて、まだまだ私たちも負けてられないなと気合いが入りましたよ。だから毎年、雄英の文化祭を楽しみにしてるんです。
今年も無事に開催されてよかった。」
「そう言って頂けると嬉しいです!」
生徒たちを褒められて私まで嬉しくなってしまう。
お酒もついつい進む。