第24章 文化祭
「エリちゃーん!」
「霞ちゃん!」
校門を出てタクシーに乗り込もうとしているエリちゃん達にギリギリで追いついた。
「お見送り、間に合って良かった!
あれ?リンゴ飴だ、美味しそう!」
「デクさんが、作ってくれたの。
サプライズだって!」
エリちゃんはとても嬉しそうだ。
大事そうにリンゴ飴を両手で抱えている。
「そっか……、よかったね!
楽しめたみたいで嬉しい。
自然と笑っちゃったでしょう?」
「……うん!
霞ちゃんの言う通りだった。」
二人でにっこりと笑い合う。
エリちゃん、行くよ。と消太くんに呼ばれ、手を振ってタクシーに乗り込んだ。
「あ、消太くん。
今日打ち上げやるってさ!」
「不参加で。」
「ダメ。」
「拒否権ねーのかよ……」と
ブツクサ言いながら消太くんもタクシーに乗り込んだ。
窓の向こうに見えるエリちゃんに手を振ると「あ!」という顔をして消太くんの方を見た。
消太くんがエリちゃん側の窓を開けた。
「霞ちゃん!コレ!」
エリちゃんから袋を渡された。
これは…………わたあめ?
「霞ちゃんの雲みたいだなって思ったの。
すっごく甘くてふわふわで美味しかったから……だから霞ちゃんにもあげたくて……」
エリちゃんは少し下を向きながらモジモジとしている。
つまり私のために買ってくれたということか……。
感極まって泣きそうになったがグッと堪えて目一杯の笑顔をエリちゃんに向ける。
「エリちゃん、ありがとう!」
ニコニコと笑ったエリちゃんがタクシーで去っていく。
私はその姿が見えなくなるまで手を振ってから、わたあめを袋の中から少しちぎり口へ放り込む。
含んだ瞬間にスッと消えてしまい、甘さが口の中に広がる。