第24章 文化祭
警戒しながら飛んでいると
誰かが木の上に吹き飛んできたのが見えた。
咄嗟に雲を出してキャッチする。
「緑谷くん!?」
「霞先生!?」
何してるの!?と叫ぶ前に下からハウンドドッグの怒鳴り声が聞こえた。
「もう一人いるだろう!
うちの生徒の匂いだァァ!!!」
急いで緑谷くんをハウンドドッグの元へ降ろす。
ハウンドドッグは白髪の男性の襟を掴んでいる。
男性は両手を上げ、戦意は無さそうだ。
すぐ近くにはツインテールの女の子がいて泣きながら男性にすがっている。
「えーっと、状況は?」
「はた迷惑な動画投稿者だ!
自首してきた。緑谷ァ!戦ったのか!!」
ハウンドドッグの言葉を聞き、
緑谷くんをバッと見やる。
「雄英に……イタズラしようとしているのがわかって、少し揉めました……でも、もう大丈夫です。」
よく見ると、緑谷くんはボロボロですり傷だらけだ。
「まったくもう!!
相変わらずの問題児!!!!」
「スミマセン……」
今日という今日は私もカンカンだ。
緑谷くんが動かなければ中止になっていたかもしれない。
だからと言って一人で抱え込む必要はない。
私たちだってそのために入念のパトロールをしているのだ。
でも、今日は文化祭。
生徒たちが安心して楽しめるように私たちはこうして走り回っているのだ。
こってり怒るのは後でもできる。
「オールマイトガ心配シテイタゾ」
「早く戻りな!」
「あの、すみません
買出しの品あっちに置いてきちゃって……」
時間も時間なので慌てている。
ここは安心安定の運搬係の出番だ。
「緑谷くん、乗って!
エクトプラズム先生、私付き添いますので後お願いします。
飛ばして行くわよ~!!!」
緑谷くんと麓の店まで荷物を取りに戻り、そのままリカバリーガールの元へ直行した。
「ちゃんと治してから行かないと、
笑顔にさせるどころか心配されちゃうよ!」
「霞先生、ありがとうございました。」
「うん!お説教は後で相澤先生にお願いしとくね!
ほら、みんな待ってるよ!頑張ってね!」
消太くんにお願いすると言った途端、顔が引き攣ったように見えたが緑谷くんはペコッと頭を下げて会場である体育館に走って行った。