第23章 林檎と猫
病院について買ってきた服たちを看護師さんに手渡した。
面会の許可をもらい、
エリちゃんの病室に入る。
「エリちゃん。調子はどうだい?」
消太くんが優しく声をかけて近付く。
何度も様子を見に来ている消太くんはもう警戒されていないようで、病室に入るなりベッドの横に置いてあるパイプ椅子に腰掛けた。
「はじめまして、エリちゃん。
緑谷……デクくんの学校の先生をしてます。
白雲霞です。お気軽に霞ちゃんって呼んでね。」
「……霞ちゃん。」
エリちゃんは控え目に小さな声で私の名前を呼んでくれた。
少し様子を伺いながら病室に入り、エリちゃんに近付いた。
消太くんの言う通り、綺麗な銀髪でお目目がクリクリしている。とても可愛いらしい。
こんなに小さな女の子が、痛い思いをして辛い思いをして、どんなに苦しかっただろう。
みんなが助け出してくれて本当に良かった。
「明日、一度練習で外に出てみよう。
このお姉ちゃんが服を買ってきてくれたから、好きなの着てね。」
消太くんが声をかけると
エリちゃんはコクンと頷いた。
でもどこか不安そうだ。
「ねえ、エリちゃん。
私とお友達になってくれない?」
「おともだち……?」
「そう。お友達。
お友達っていうのは一緒に遊んだり、たくさんお話ししたりする人のことなの!
これから、たくさん遊んだりお話ししたいなって思うんだけど、どうかな?」
少しでも、安心して出掛けて来れるように……。
エリちゃんは再びコクンと頷いた。