第22章 できる事
「オレってば、ああゆう張り詰めた空気ノーセンキューなのよね。」
「まあ、気持ちはわかるかな。
でもエンデヴァーさん、少し雰囲気柔らかくなってなかった?」
「どこがだよ!!」
ひざしくんはヤレヤレと首を振っている。
私たちは自動販売機のあるフロアまでやってきた。
仮免補講以外にも体育館を利用しに来ている人がけっこういる。
「え!?プレゼント・マイク!!
いつもラジオ聞いてます!
握手して下さ〜いっ!!!!」
女の子が数名、ひざしくんに近寄ってきた。
「センキュ〜、リスナー!」
キャーキャー言われながら握手をしたり、サインをしているひざしくんを微笑ましく見ながら4人分のコーヒーを買う。
兄貴分が人気者なのは嬉しい。
消太くんはあんなにかっこいいのにメディア嫌いでほとんど表に出ないからまったくといっていい程、知名度が低い。
もったいないなあ〜と思いつつも、消太くんが女の子にキャーキャー言われてるのを想像したら面白くなかった。
「あの、クラウディアさんですよね!?
ファンです!サインいただけますか!?」
「あ、はい。喜んで!」
ひざしくんが注目を浴びたおかげで私も声をかけられた。
コーヒーを片手で持ち、サラサラとサインを書いた。
地方での地道な活動しかしていなかったのに、ファンがついてくれるなんて有難いことだ。
できる限りの対応をしていると、いつの間にか人だかりができていた。
しまった、早く戻らないとなのに……!
ひざしくんをチラッと見ると
すぐこっちまで歩いてきてコーヒーを受け取ってくれた。
「ソーリー、リスナー諸君。
俺ら、そろそろ行かなきゃだから!
応援サンキューな!バイ!」
大声で叫んで、私の背中をグイグイ押してオールマイトとエンデヴァーの元へ戻るため歩き出す。
「ありがとう、ひざしくん。」
「しっかり仕事しねーと、相澤に怒られちまう!」