第21章 こころの壁
「ご飯、食べれたか?
あの後、直行で部屋戻ったろ?」
「うん、さっきね。
談話室にひざしくんがいて作ってくれたんだよ!
おばあちゃん直伝のジャパニーズリゾット。
すっごく美味しくてびっくりしちゃった。」
「ジャパニーズリゾットって、小ネギたっぷりのおじや?」
「そうそう!消太くんも作ってもらった事ある?」
「作ってもらったも何も、それ、俺が山田に教えたんだよ。
何が、おばあちゃん直伝だ!どうせ女の子を口説く時に友達って言うと疑われるから、ばーちゃんって言ってるんだろ。呆れたやつ。」
そんな下らない手法を霞にまで使いやがって!!
と、消太くんは怒っている。
何でも、私が赴任する前に
風邪をひいたひざしくんは消太くんに助けを求めたらしい。
寝てりゃ治る。と何度か無視していたが
あまりにもしつこいので食料を買っていくと
暖かいのが食べたい~と駄々をこねられ仕方なく、おじやを作ってあげたらしい。
なんだかんだ、優しいのが消太くん。
そのおじやが余りにも美味しかったので今度はレシピを教えろとしつこく付きまとわれて教えたとのことだった。
微笑ましい兄貴分たちのエピソードに笑いが止まらない。
消太くんは器用だから料理もきっと上手なのだろう。
合理的じゃないからやらないだけで。
ひざしくんは私が消太くんに話すこともわかってて作ってくれたんだと思う。
どこまでも優しい兄貴分だ。
「すっごく美味しかったよ!
弱ってる時にあんなの作られたら女の子イチコロだね。
今度、消太くんが作ったジャパニーズリゾット食べさせて!」
「嫌だ、面倒くさい。」
そんな言って、きっと頼めば作ってくれるのだろうな~。
ニヤニヤと緩んでしまう口元をコーヒーカップで隠した。