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partly cloudy 【ヒロアカ】

第21章 こころの壁





コンコン。

「消太くん。まだ起きてる?」


返事はなかった。

少し待っているとガチャとドアノブが回り
消太くんが顔を覗かせた。
上下真っ黒の部屋着で髪の毛は後ろでまとめられている。



「どうした?」


「クラウディア特製コーヒーのデリバリー。
入ってもいい?」



私がお盆にちゃっかり二人分乗せたコーヒーを見せるとドアを大きく開けてくれた。
入ってもいいということだ。

一歩踏み出し部屋に入ると
相変わらず電気が付いておらず暗い。
パソコンの光だけが煌々と部屋を照らしている。


消太くんにコーヒーを渡し、お盆を床に置いた。


「知ってると思うが余分な椅子はないぞ。
談話室行くか?」


「ご心配なく、持参してます!」


パチンと指を弾き、雲を出してその上に座った。
座り心地は抜群だ。





普段なら部屋に入ってすぐ電気を付けるところだが、先ほどの保健室でのキス未遂があり、少し気恥ずかしいので暗いままでいる。

消太くんはデスクに座った。



「少し休んだら元気になりました。
お礼伝えそびれちゃったから。ありがとね。」



そうか。と消太くんはコーヒーに口を付ける。
私も自分用に淹れてきたコーヒーを飲む。
先ほど、ひざしくんと一杯飲んだので今度は温めたミルクをたっぷり入れてカフェオレにしてきた。
消太くんのはブラック。


「インターンの件、ちゃんと聞かせて。
さっきは感情的になっちゃったから……。」



「……悪い。
俺の判断でインターンの継続を許可した……。
お前の意見も聞くべきだったが……
俺は、緑谷を信じてやりたい。だから許可した。
でも連合が深く関わってくるようならそこまでだ、とも伝えてある。」



「うん。私……信じるって事をしようとしてなかった。
先生失格だ。
だから今度こそ、生徒を信じる。それに消太くんを信じる。
消太くんがいない間、A組は私が見ておく。」



消太くんに向かって拳を突き出した。
少し驚いた顔でこちらを見て、口元だけで笑った。


「任せるよ、優秀な副担任。」


私が突き出した拳に消太くんが拳を合わせた。





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