第21章 こころの壁
消太くんに抱きしめられている。
消太くんの服を握りしめ、話しを続けた。
「でもね、生徒たちの事を考えたら
絶対にインターンに参加した方がいいと思うの。
経験は簡単には培えない。
だから学べることは学んできてほしい。
そう思ってるのに、弱い私が、それを認められないの。
この先ずっとインターンの時期が来るたびに
怖いだなんだと弱い事を考えそうな自分が……嫌。」
甘えた事を言うなって、呆れられるかもしれない。
教師失格かもしれない。
何年経っても、私は前に進めていない。
弱いままだ。
「霞……顔、あげろ」
消太くんの声が頭の上で響く。
首を振って拒否する。
こんな情けない顔、絶対見せられない。
グイッと顎に指をかけられ、上を向かされた。
長い前髪の隙間から消太くんの少し充血気味の瞳と目が合う。
「俺が……見ているよ。
お前のことも、他の生徒のことも。
俺が、絶対に見ていてやる。弱音吐いたら喝入れてやる。
安心して……これからも弱音吐け。
霞が辛いときはそばにいる……から。
だからお前も、俺を見てろ。俺だけ……見ていろ。」
鼻と鼻が擦れ、今にもキスをしてしまいそうな距離。
消太くんがどんどん近付いてくる。
唇が……触れる……