第21章 こころの壁
目が覚めたら保健室だった。
リカバリガールの姿はない。
窓の方に人の気配を感じ、首だけ動かすと
消太くんが窓の枠に座り外を眺めていた。
外から入ってくる風が消太くんの髪をなびかせる。
(……泣いてる?)
なんでそう思ったのか、わからないが
泣いているように見えた。
私が起きたことに気が付き、
窓枠から降りてベッドの端に腰掛けた。
「痛いところ、ないか?
まだ息苦しかったらもう少し寝てろ?」
先ほどの泣きそうな顔は見間違いだったのだろうか。
心配そうに私の顔を覗き込み、顔色を確かめている。
「ごめん、勝手に興奮して。勝手に倒れて……。」
「……いや、こっちこそ。
俺は……いつも上手く伝えられない。」
「そんな事ないよ。伝わってる。
さっきは……冷静になれなかった……。
怖かった、インターンはまだ少し……怖いの。
生徒に何かあったら……何もできない……。」
ベッドのシーツをギュッと握る。
その手を消太くんが軽く引っ張り、目の前が真っ黒の消太くんのヒーロー服に覆われた。