第21章 こころの壁
心操くんが寮に帰るのを見送り、
私と消太くんはそのまま木に寄りかかって話をした。
「今回のチームアップの内容について、箝口令が敷かれた。
お前にちょっと話しちまったが、内密で頼む。」
「うん、わかった。インターンの方は?」
「それなんだが……、
警察とナイトアイの見解では敵連合とは協力体制にない、という見立てだ。
詳しくは言えんが、今回インターンを中止にすると、また緑谷が勝手な行動をする……と俺は判断した。
だから、俺が見ておく事にした。」
「……ちょっと待って?
つまり、インターンは継続で、
生徒たちをわざわざ危険な任務に就かせるってこと?
彼らは仮免を取ったばかりの一年生だよ!?
敵連合が関わってくる可能性もゼロじゃないんだよね?
中止させるべきだよ!!
緑谷くんなら勝手な行動をしないように学校で見張っておけばいい!」
「落ち着け、」
消太くんは段々と語尾が強くなる私をなだめようと
肩に手を置いた。
私はそれを振りほどいた。止められない。
「落ち着けない!
インターンで現場に出れば学生とはいえサイドキック。
何と立ち向かうのか、わからないし、
いくらプロヒーローが一緒だとしても……
何が起こるかわかんないんだよ!?
もし……もし……何かあったら……。」
ハァハァと私の息が上がり、鼓動が早まる。
身体が震える。寒くもないのに。
「霞、落ち着け。
ゆっくり息しろ……。ゆっくりだ。」
消太くんの声が遠くに聞こえる。
息が、苦しい……
苦しい……
苦しいよ……お兄ちゃん。
そのまま私の意識は途切れた。