第20章 手探り
「辛いこと、想い出させてごめんね。
大事な友人だったなら辛かったでしょう。」
ノリちゃんの背中をさすった。
幸い、ファットが大きいから他の客席からは見られない。
「つい、この前、会いに来てくれたばかりだったの。
私が……あの時止めていれば……。ケンちゃんは……。」
ケンちゃん?
最近会いに来たってことは引石健磁のケンちゃん?
詳しく聞き出したいが、大切な人を亡くして悲しんでいる人を利用したくない。
私とファットは彼女が落ち着くまで慰め、店を後にした。
「クラウディア、詳しい話聞かんで良かったんか?」
「うん、いいの。
付き合わせちゃってごめんね、ファット。」
ノリちゃんの話がマグネのことだとしたら、敵連合に何かが起こった?
内輪揉めか、別の敵とやり合ったか……。
ファットと繁華街を歩き出すと後ろから
先ほどの店のママが追いかけてきた。
「クラウディア、さっき貴女、詳しく話聞かなかったでしょう?」
「すみません……。
悲しい想いしてる人から無理に話を聞くなんて……できませんでした。
私は悲しい想いをする人を減らしたくてヒーローになったので……。」
力及ばず、申し訳ないです……。と俯いて肩を落とすとファットが背中をポンポンと叩いてくれた。
ママがため息を一つ落とし、
「不器用な子ね……」と事情を話してくれた。