第20章 手探り
夜も遅くなってきたので、
生徒二人をホテルに送り届けた。
「もう一軒行くか!
こっからは大人のお時間やしな!」
「ファット、それなら行きたいお店あるの!」
一人で入るのは勇気がいるので躊躇していたが、
ここら辺で有名なヒーローのファットガムが一緒なら入りやすい。
チャンスとばかりにマグネが勤務していたというバーに入った。
「なんや、クラウディア。
この辺の店知ってたんか~。」
ファットガムはやはり人気のヒーロー。
店に入るなり、「ファットや~!」と声が上がる。
カウンターは満席だったのでソファー席へ通された。
店のママらしき人が声をかけてくれたので
マッスルレディからの紹介です。と伝えた。
店のママが真剣な顔つきに変わり、
ちょっと待っててね……。とバックヤードへ消えて行った。
「なんやなんや、話が読めへん。」
?マークが浮かびまくっているファット。
私は店のママが戻ってくるまでに
コソコソと簡単にファットガムに説明をした。
「敵連合。ファットも聞いたことあるでしょう?
その連合の一人が最近、ここの従業員に会いにきたらしいの。
それとなく、情報を探りたいんだけど……。」
「そーゆうことならファットさんに任せときィ。
世間話は得意中の得意や!」
ムン!と気合を入れたファット。
盛り上げ役としていてくれるだけで有難い。