第20章 手探り
ファットガムの事務所から少し歩いた所にある、お好み焼き屋さんに来た。
いつも食べているタコ焼きはオヤツらしい。
「ファットガムと霞先生は昔から仲良しなんすか?」
切島くんがお好み焼きをフウフウと冷ましながら聞いてきた。
天喰くんは粉ものを食べ飽きたようで嫌そうな顔をしている。
「そうそう!私とファットはもう10年近く仲良しだよね~!!!」
私は隣に座っているファットガムを覗き込んで笑った。
「あれは、忘れもしない。
高校2年生の仮免試験の時やった……。」
「そうそう!
毎年まず初めに雄英が狙われるじゃない?
それで私、クラスのみんなと離れちゃって一人で他校に囲まれたの!
そしたらファットが守ってくれてねー!」
「どーも雄英潰しっちゅう弱い者イジメみたいなん、気に食わなくてなァ。
つい、身体が動いてしもたんや。
でもけっきょくクラウディア一人でほぼ一掃。
そんでお恥ずかしい話やけど、転んで崖から落ちそうになったところをクラウディアに助けてもらったんや!
そっから仲良し子良しなんやで〜。」
「いやいや〜、あの時はファットが他校を引きつけてくれたから全員倒せたのよ〜。
崖に落ちかけたのだって、私を庇って飛び出したからだしね!」
アハハ〜とファットと笑い合う。
切島くんは二人とも漢だぜぇ!!と盛り上がっていた。
「二人とも他校に立ち向かうなんて凄い。
俺なんか仮免許の時は一斉に狙われてお腹痛くなっていた…。」
天喰くんは壁に向かって話しかけている。
「霞先生って昔から強かったんスね。」
「そんなことないよ!
一年生の頃なんてダメダメだったよ。
ちょっとしたキッカケで変われたの。
常に心に原点を。ってよく相澤先生が言ってるでしょ?
私の原点、強くなりたいって思い始めたのが丁度その頃だったんだよ。」
原点か……。と切島くんが呟く。
「相澤先生ってイレイザーやろ?
あいつが教師やるとは意外やったわ。」
「いい先生だよね!切島くん?」
「はい!」