第20章 手探り
「オイ!見つけたぞ!!!
もう逃げられないぞ!観念しろ!!!!」
「くそっ!!!
どけぇーーーー!!!!」
男は怒りだし、注射器を一つ手に持ち
自身の首へと打ち込んだ。
そしてその瞬間、男の手から空気砲が放たれた。
うわっ!と警察官たちが路地裏へ吹っ飛ぶ。
私は警察官たちが壁に打ち付けられる前に雲を出してクッションにした。
「あ、ありがとうございます……」
「あっちは大通りです。
私が路地裏へ引き寄せます。
あなた方は大通りに出て避難誘導を。
それと近隣のヒーローに出動要請を!急いで!!」
捕獲用の雲を伸ばし、暴れる男の体に巻き付ける。
そのまま、せ~のッ!と路地裏の奥へ投げ飛ばした。
おそらく手から空気を放つ個性。
私の雲は物理的なものは防げるが、風に弱い。
つまり空気砲を打ち込まれたら雲でのガードは不可能。
距離を取って戦うのは不利。
間合いに入って動きを止める!!
ダッと走り出し、男との距離を詰める。
男も空気砲を何発も放っているが、
先ほど、警官たちを吹っ飛ばしたほぼの威力ではない。
人を吹っ飛ばすだけの威力を出すには“溜め”がいるのだろう。
手さえ防いでしまえば!!!
男の右手を捉え、思いっきり引っ張って押し倒した。
すぐに右手を捻り上げ、左手は足で押さえつけた。
「動かないで。
今、空気砲放ったら自分が吹き飛ぶわよ!」