第20章 手探り
「反対が多数だったね。」
「まあ、そりゃそうだろ。
一年の仮免許取得が異例だ。」
新学期に入り、
緑谷くんと爆豪くんの謹慎は明けた。
先ほどの会議の内容は明日の朝のHRで生徒たちに伝えられる。
会議を終えた私と消太くんは授業を終えた心操くんと待ち合わせをしている。
先日から捕縛布の訓練を開始し、
消太くんが来られない日は私が対人格闘技を指導している。
「心操くん、お待たせ〜!」
「霞先生も来たんですか?」
「な〜にぃ〜?
相澤先生と二人っきりが良かったのぉ〜?」
ニヤニヤと心操くんを突く。
「……それは先生の方でしょ?」
ニヤッと笑い返される。
思わぬお返しに私の顔は赤くなる。
生意気な!!!
今日が対人格闘技の指導だったらコテンパンにとっちめてやったのに!!!
「おい、無駄口叩いてないでさっさと始めるぞ!
時間は有限だ。」
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心操くんのトレーニングの見学中
携帯電話が鳴った。
表示された名前を見てドキッとする。
【ホークス】
えー……出たくない……。
「ごめん、電話でてくるね。」
消太くんに断って少し離れる。
「も…もしもし……」
『どーもぉ、霞サン。
もしかして電話出たくないなーとか考えてました?』
アハハ!と電話の向こうから陽気な声が聞こえる。
なんでわかるんだ。
まさか、どこかから見張られている!?
私はキョロキョロ周りを見回した。
『霞さん、わかりやすいから。
考えてる事くらいわかりますよ。』
少しムッとして返事をする。
「何ですか!?
この前の宿題の答えでも聞きたいのでしょうか!?」
『それもありますけど、別件も!
今晩空いてます?』
「空いてるけど……。
今、雄英的に自由に出歩けないのよ。」
『近くまで行きますし、長い時間は拘束しませんよ!』
「わかった。じゃあ……」
近くのビルの屋上で集合にして電話を切った。